「一発屋芸人列伝」(山田ルイ53世著)レビュー

「ルネッサーンス!」「〇〇やないか〜い」でお馴染みの髭男爵の山田ルイ53世さんが本を出されていることをご存知でしょうか。

出版されているだけでなく、その著書「一発屋芸人列伝」にて「第24回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」という賞を受賞されています。さらに同作で「Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」にもノミネートされました。

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この記事では、その「一発屋芸人列伝」について紹介します。

 

「一発屋芸人列伝」とは

いわゆる”一発屋”と言われている芸人さんたちの「ブームに至るまでの経緯」と「ブームを終えてから今までのこと」が綴られた本です。

髭男爵の山田ルイ53世さんが、”一発屋芸人”たちに自身でインタビューして書かれています。

1人1人のパートは20~30ページほどで決して長くないのですが、その芸人さんの人柄がとても良く伝わってきます。また、山田ルイ53世さんが自ら”一発屋”とおっしゃっていることもあり、インタビューを通しての考察がわかりやすく読みやすいです。

色んな人が売れては消えていくと言いますが、せいぜいその人の絶頂時しか見ていなかったのだなと気づかされます。

芸人好き・お笑い好きの方に限らず読んでほしい本です。

 

おすすめエピソード

スーパーポジティブなレイザーラモンHGの回

「一発屋芸人列伝」のトップバッターを飾るのが「フォー!」の声と”ハードゲイ”という謎のキャラクターでブームとなったレイザーラモンHGさんです。

そんなHGさんですが、2013年には、あるあるをなかなか言わない相方のRGさんと共にTHE MANZAIの決勝に出場しています。その時は「おぉ、そう来たか」と思ったし、決勝のネタがまさにレイザーラモンしかできない漫才でとても感銘を受けたことを覚えています。

「一発屋芸人列伝」のHGさんの回を読んでわかるのは、HGさんがスーパーポジティブだということです。詳しくはもちろん本を読んでほしいのですが、とてもポジティブな発言だなと思ったのが下記の発言です。

「僕達って、飽きたとか、面白くなくなったとか言われるけど、その言い方は合ってないと思う。やってることはずっと面白い。ただ、皆が”知り過ぎてしまった”だけ。そもそも、面白いものを提供したからこそブレイクしたんだから!」

引用元:山田ルイ53世『一発屋芸人列伝』(新潮社、2018年出版)

この発言は、”一発屋芸人”に関わらず昔はすごいすごいと言われていたのに最近は・・・と思う節がある人みんなに響く言葉のような気がします。ただそれが当たり前になっただけで自分自身がダメになったわけではないのだと思わせてくれます。

他にも、低迷期には奥様のヒモだと言われていた(奥様は社長です)こともあったが今となっては結局ポジティブに解釈している話や、”ハードゲイ”が生まれるまでのHGさんの男気溢れる姿を知ることができます。気になった方はぜひご一読を。

 

一発屋とかそういうレベルじゃないテツandトモの回

「なんでだろう♪」のフレーズで2003年度の流行語の年間大賞を受賞しているテツandトモ。ノミネートではなく”年間大賞”を獲ったことは”一発屋芸人”の中でも格が違うすごさです。

さらに、テツandトモのネタはいわゆる”歌ネタ”に分類されるだろうにも関わらず、M-1グランプリ2002年では決勝に進出しています。

M-1グランプリの記事を参考にしてほしいのですが、ギターを持ってM-1の舞台に出たのは後にも先にもテツandトモだけです。それも、2002年のM-1は今よりもっと厳格な雰囲気だったのにも関わらず決勝に出ているということから、当時どれだけ世間に人気があってどれだけ予選で笑いをとっていたかがわかると思います。

この「一発屋芸人列伝」の中でもテツandトモはレジェンド扱いされています。しかしながら、ブームはもう15年も前のことになり、今の中学生はもはや生まれていなのか・・・と思って読むとまず衝撃を受けることになります。

「えーーーー!?」
取材の為に訪れた、テツトモの二人が所属するニチエンプロダクション。その一室に筆者の声が響き渡る。今現在の営業の本数を伺うと、
「二日に一度くらい・・・・・・年間で、大体百八十本くらいかな」
その尋常ではない数に驚いたからだ。もちろん、今日に至るまで多少の増減はあっただろうが、「なんでだろう」の流行から15年ほど経った今でも、彼らへの営業のオファーは留まるところを知らない。

(中略)

こうなると、「テレビの露出が減った」と言うより、「営業が忙しすぎてテレビに出る暇がない」と言った方が正確かもしれぬ。もはや、只の売れっ子なのだ。

引用元:山田ルイ53世『一発屋芸人列伝』(新潮社、2018年出版)

この後、量だけでなく質も高いテツandトモの営業についてのあれこれが書かれているのですが、これを読んだことで今のテツandトモの営業が見てみたくなりました。2003年当時も息ぴったりで歌も動きもすごかったのですが、それが今も数々の営業で磨かれ続けているのだとしたらかなりの完成度になっているのではと思います。

他にも、他の芸人とはちょっと違うテツandトモのブームに至るまでの経緯からブーム後の活動までの物語を知ることができます。気になった方はぜひご一読を。

 

0.8発屋から一発屋になったジョイマン

ジョイマンの回に関しては、まず下記の引用からご紹介します。

 本連載の趣旨と相反する物言いになるが、ジョイマンは正確には一発屋デアない。1に満たぬ”0.8発屋”といったところか。
勿論、彼らも、大ブレイクと言って差し支えない十分な結果を残したが、レイザーラモンHGや小島よしお等と比べると、”小粒感”は否めない。

引用元:山田ルイ53世『一発屋芸人列伝』(新潮社、2018年出版)

素人の自分が賛同するのは失礼な話なのですが、確かに”0.8発屋”くらいだったかもしれないと納得してしまいました。「ありがとう、オリゴ糖」などの韻を踏むフレーズは確かに周りでも流行りましたが、先のテツandトモのように流行語にまでなったかというとそうじゃなかった気がします。

けれども、ジョイマンはブーム後の活動で過去の”0.8″を”1″に塗り替えたのではないかと思っています。ジョイマンがブームだった時代は、お笑い番組で言うと「レッドカーペット」が流行っていてショートネタの人がどんどん出てきており、ジョイマンと同じくらい人気があった組が他にもいました。けれども、2018年の今となっては”一発屋”としても名前が上がってこない人もいます。ジョイマンはそこから1つ抜けたと思います。

「一発屋芸人列伝」の中でも紹介されているエピソードですが、一般人の「ジョイマン消えた」ツイート1件1件に対し「ここにいるよ」と直接リプライするなど自ら自虐を加速させています。笑

サイン会を開いたらお客さんが0だった事件についても大々的にネタにしており、そのかいもあって(というのも変な話ですが笑)最終的に2018年にはルミネtheよしもとを満席にできなければ解散すると宣言し、見事満席でのライブを成功させています。natalie.mu

他にも、ジョイマン結成の話や韻を踏むスタイルのネタが生まれた経緯などを知ることができます。気になった方はぜひご一読を。

 

まとめ

おすすめエピソードで紹介した3組をはじめ、「一発屋芸人列伝」で書かれている芸人は以下のみなさまです。

  • レイザーラモンHG
  • コウメ太夫
  • テツ and トモ
  • ジョイマン
  • ムーディー勝山・天津 木村
  • 波田陽区
  • ハローケイスケ
  • とにかく明るい安村
  • キンタロー。
  • 髭男爵

この”一発屋芸人”の物語が気になる方はぜひご一読ください。

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それでは。

 

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